信託財産留保額のないファンドは解約の多い月に損が大きいのか調べてみた

最近ブログで、信託財産留保額についてよく見ますので、あらためて信託財産留保額について調べてみることにしました。

投資信託の「信託財産留保額」のお話|About Money,Today
「信託財産留保額」あらためてチェックしてみました。|rennyの備忘録

結論は、予想とまったく違った驚きの結果となっています!

信託財産留保額は、ファンドの追加設定や解約によってファンドに組み入れる有価証券等の購入や売却費用について、投資家間の公平性を図るため、投資家から徴収する金額のことです。

投資信託によっては一切徴収しないもの、保有期間によって軽減するもの、一定期間保有すれば徴収されないものなど、様々なものがあります。

徴収された額は信託財産内に留保され、基準価額等に反映されます。解約時に負担するケースが一般的ですが、ファンドのなかには購入時に必要なものもあります。

信託財産留保額|日本証券業協会より引用


投資家間の公平性を図るために、投資家から徴収する金額なので運用会社や販売会社にとられるコストとは性質がまったく異なります。

投資しているファンドに対して、短期的に売買を行う投資家と、長期保有している投資家が混合しているのですが、短期投資家によって発生する売買コストを保有中の投資家の負担にならないように徴収する仕組みです。

個人的には、数年先まで投資している予定のファンドならば、信託財産留保額のあるファンドは歓迎ですし、同一の運用管理費用(信託報酬)ならば、信託財産留保額があるファンドを(敢えて)選びます。

さて、そんな信託財産留保額について設定が『あるファンド』、『ないファンド』で比較検討をキチンとしたことがなかったので調査してみました。

比較検討したファンドの紹介


比較検討したファンドは、運用管理費用(信託報酬)がまったく同じ0.50%(税抜き)の先進国株式に投資するインデックスファンドです。

グラフは比較対象となった純資産の推移(百万)となっています。

外国株式インデックスe(信託財産留保額なし)
外国株式インデックスe 純資産推移

SMTグローバル株式インデックス(信託財産留保額0.05%)
SMTグローバル株式インデックス 純資産推移

比較検討のルール


外国株式インデックスeのほうが設定が新しいので、2010年4月~2015年4月までの60ヶ月間の純資産が、先月比で下落した月の基準価額の下落率を調査してみました。

すべて調べたところ、両ファンドとも、下落月は運良く分配金の支払いがなかったので、分配金による基準価額の減少については存在しなく平等であったことを確認しています。

2012年5月にSMTグローバル株式インデックスで決算がありましたが、無分配0円です。

2ファンドの下落月の比較表



外国株式インデックスeSMTグローバル株式インデックス
純資産下落率基準価額下落率純資産下落率基準価額下落率
2010/05

-9.429%-13.343%
2010/06

-3.317%-6.130%
2010/08

-4.462%-6.545%
2011/05

-2.050%-3.957%
2011/06

-1.385%-2.273%
2011/07

-2.465%-4.216%
2011/08

-6.573%-10.033%
2011/09

-4.464%-6.125%
2011/11-3.246%-8.402%-7.389%-8.409%
2012/05-7.921%-10.885%-9.918%-10.904%
2013/06-6.524%-6.241%-7.507%-6.236%
2013/08

-1.748%-1.271%
2014/10

-4.003%-0.573%
2015/01-2.378%-4.300%-1.695%-4.291%
2015/03-0.167%-0.213%

2015/04-0.576%-0.907%-0.708%-0.913%

結論


信託財産留保額が0.05%のSMTグローバル株式インデックスのほうが、純資産が下落する回数が60ヶ月中で15回と圧倒的に多かった。

外国株式インデックスeのほうが解約に対する障壁を感じられないように思えるが60ヶ月中で6回しかなかったのは素晴らしい!

2ファンド共に、純資産が下落した月で相場が上昇したような逆転現象はなかったので、流行りものではないインデックスファンドらしい動きをしています。

純資産の下落率が大きいほうが基準価額の下落率もまた大きいのは興味深い。
SMTグローバル株式インデックスのほうが下落率の大きい月が多かったので、信託財産留保額が0.05%あったにもかかわらず、基準価額の下落率が大きかった。

考察


投資信託における基準価額の下落は、ファンドに投資している投資家の解約によるものではなく、投資している株式などの株価が下落した結果であることのほうが主なので、今回の調査は正確性に欠けるものがります。

それでも、純資産の下落はファンド固有の問題となりますので参考になるでしょう。

大手ネット証券でも買えなかった時期もある外国株式インデックスeと比べて、SMTグローバル株式インデックスのほうが販売チャネルが多いので、純資産総額も違うし投資家層も違うのかもしれません。

理想は長期投資家にとって信託財産留保額はありがたい迷惑料徴収制度ですが、現実はファンドに投資する投資家層によるところも多いし、ファンドマネージャーの腕の見せどころでもあるのかもしれない。

ファンドマネージャーにとってみれば、暴落時での解約殺到が一番辛いことでしょう。
リレー投資でファンドを売却をする場合は、平時で実行すれば買い手との合算により、ファンド内の株式や債券などの売却をしないでも済みます。
そういう『大人な投資家』が集まったファンドならば、信託財産留保額なしのファンドでも信託財産留保額ありのファンドと遜色のないパフォーマンスを出せるのかもしれません。

いっそのこと、信託財産留保額を1~2%徴収して、長期投資家ほど短期投資家が置いていった信託財産留保額により基準価額を押し上げる・・・そんな不思議な投資信託を見てみたい気もする。

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