
大和総研のレポートでNISA(少額投資非課税制度)がなぜ不便な仕組みとなってしまったかの解説がありましたのでわかりやすくまとめてみました
なぜこのような制度になったのか?-それには理由があります-(PDF)
- 証券投資の経験が豊富な層からすれば、限度額が少ない
NISAは、富裕層に限らず、個人を幅広く対象としている
どちらかといえば、これから資産を形成する層に焦点を置いているので年間拠出限度額をあまり多くすると、金持ち優遇の批判は免れない - 原則として、現金での投資しか認められていない
新しい資金を株式市場に呼ぶこむことを目的としている
既に保有している株式をNISAに移管することを認めたのでは株式市場に新たな資金は流入しない - 時限的措置である
厳しい財政事情を考えると、当初から無期限の非課税措置を設けるのは難しい
しかし、その後の制度の普及動向を見て、例えば 2020年に 25兆円という政府の目標が達成されるなど、制度が十分に普及し活用されれば、恒久化される可能性も高まる - 非課税の運用期間が 5 年しかない
非課税運用期間を5年間とすることで非課税の投資累計額に500万円という上限を設定
金持ち優遇批判に対応するためには、まずは妥当な水準かと思われる
制度の恒久化にあわせて運用期間の上限撤廃も検討されることが期待される - 対象が株式、公募株式投資信託等に限定されている
そもそもNISAが上場株式・公募株式投資信託などの 10%税率の廃止の激変緩和措置であった
個人のリスク資産への投資による資産形成促進と企業への資金供給を目的としていることを受けてのもの - 口座開設の手続きが煩雑な上に、開設まで時間がかかる。
複数口座を活用して年間 100 万円という限度額を超えることがないよう、1 人 1口座を確保するため、口座の重複が無いことを税務当局が確認し税務当局から非課税適用確認書を送付されて始めて口座開設ができる仕組み
2016年からは番号制度が導入され個人番号を活用することで、税務当局の名寄せが迅速に行われ、また住民票の写しの提出等を不要とし、手続きの簡素化や時間短縮が図られることが期待される - 上場株式の配当や、ETF、REIT の分配金が非課税になるのは、証券会社に NISA を開設し、その証券会社を通じて配当や分配金を受け取った場合(株式数比例配分方式)のみである。
上場株式、ETF、REIT を預けている NISA で配当や分配金を受け取るために必要な方法であり、やむを得ない - 非課税期間中に損失が生じた場合でも、その損失はないものとみなされ、特定口座、一般口座にある他の株式投資信託の譲渡益や分配金などと損益通算できない
譲渡益が非課税、即ち課税上ないものとみなす以上、譲渡損もないものとみなすことでバランスが取れている
仮に、NISAの譲渡損が他の口座の上場株式等の配当・分配金や譲渡益と通算できれば、それだけ税負担が軽減される
利益が出た時に課税しないだけでなく損失が出た時にも税相当額の補助金を国が与えることになるのでこの見直しはかなりハードルが高い - 非課税口座内で株式や株式投資信託などの運用商品をいったん売却・解約すると、その商品の元本分の非課税枠を使い切ることになる
NISAは株式や公募株式投資信託の短期的な回転売買ではなく中長期的な資産形成のためにじっくりと腰を据えた投資を促すためのツールとして位置づけられている
したがってそのような中長期的な投資が定着すれば見直しが行われる可能性も出てくるかもしれません - NISAで投資している株式投資信託の分配金を再投資すると、非課税枠を消費することになる
運用会社に対して高い頻度で分配金の支払いを受けるといった投資手法等はNISAの非課税枠を十分に利用できない場合があることに留意するよう求める
分配金のみに着目するのではなく、トータルのリターンを念頭に置いた投資を促すことにより、投資家が複利的な運用の効果を享受できるようにすることを期待している - 未使用の非課税枠の繰越しができない
未使用非課税枠の繰越額管理に関する事務上・システム上の負担が大きいことから、やむを得ない
重要と思える部分には赤字で強調してみました
未完成なまま見切り発車の印象だったNISAでしたが今後の普及次第によっては使い勝手が改善される可能性もあるようです
2箇所ほど金持ち優遇批判に注意を払っていますがいまどきの投資は低コストなインデックスファンドによる国際分散投資が可能になったことで普通な会社員による資産運用が多いのではないでしょうか
NISA普及の為には金融庁は分配金の規制強化と無分配型投資信託の容認が必須です
その上で年間拠出額(年100万)を維持したまま制度の恒久化をよろしくお願いします
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