えっ うそ ホント

インデックスファンドは株価指数などのベンチマークに連動することを目的としていて、アクティブファンドよりも銘柄を売買することが少なく、運用管理費用(信託報酬)が低コストであることが重要です。

低コストで定評のあるSMTインデックスシリーズの『SMT 新興国株式インデックス・オープン』で、11期の実質的な運用管理費用が高コストであったことがわかりました。

長い運用の期間中には、トラッキングのミスでそういう場合もあるのかもしれませんが、今回の理由は印象的だったので記録しておきます。

いっさんのブログ『資産形成は時の流れにまかせて。』2つの記事に要注目!

何が起きてる?新興国低コストインデックスファンドの実質コスト差の発生!

信託報酬(税抜)0.6%の新興国低コストインデックスファンドである下記3ファンド。
今回、SMTインデックスシリーズが決算を迎え、SMT新興国インデックスオープンの実質コストが出てきてビックリ!

  • SMT  1.14%
  • eMAXIS 0.8%
  • Funds-i 0.78%



電話取材!SMT新興国株式インデックスの実質コスト急騰の件

このSMT新興国株式インデックス・オープンと同じマザーファンドのベビーファンドで大きな解約が入ったカタチになった(詳細は社外秘なのだそうですが、ラップ口座の販売戦略の影響で、ベビーファンドごと切り離すような大型な解約がマザーファンドに入ったカタチになった)とのことで、今回、突発的に売買高比率が上がって、売買高比率、有価証券取引税、保管費用等に大きな影響があったということです。


3社の新興国インデックスファンド 直近の運用報告書を比較


SMT 新興国株式インデックス・オープン 第11期運用報告書より(PDF
SMT新興国 売買比率2014年12月作成

eMAXIS 新興国株式インデックス 第5期運用報告書より(PDF
eMAXIS売買比率 2014年12月作成

Funds-i 新興国株式 第4期運用報告書より(PDF
Funds-i新興国 売買比率 2014年12月作成

問題となったSMT新興国の運用経過と今後の運用方針


【「新興国株式インデックス マザーファンド」の運用経過】

ベンチマークであるMSCIエマージング・マーケット・インデックス(円換算ベース)と連動することを目標として運用を行っております。当期の運用につきましては、同インデックスとの連動性を図るべく、約800銘柄(DR(預託証券)を含みます。)に分散投資しました。
また、資金の流出入等に対応するため、一部海外の株価指数先物取引を行っており、DRおよび先物を含む株式の組入比率は、期を通じて概ね100%程度を維持しました。


今後の運用方針

今後につきましても、「新興国株式インデックス マザーファンド」受益証券の組み入れを通じて、MSCIエマージング・マーケット・インデックスを構成している国・地域の株式(DR(預託証券)を含みます。)を中心に組み入れ、取引コストを極力抑制しつつ、ベンチマークとの連動を目指した運用を行ってまいります。


説明は…。

考察


マザーファンドの運用チームはベンチマークと連動するべくコストを抑えているはずです。

しかしながら、いっさんの突撃取材によりわかった事実として、同じマザーファンドの他ベビーファンドで大きな解約が入ったカタチで、売買金額が急騰している結果となってしまいました。


期中の売買金額期中の平均時価総額売買高比率
SMT新興国18780306276788720.67
eMAXIS新興国6537753216525420.3
Funds-i新興国227190293673870.24
※単位は1000円

正直、マザーファンドが大きければインデックスファンドの純資産が小さくとも安心である印象はありましたが、それは絶対的ではなく、インデックスファンドを選択する要素の1つであると考えてもよいのかもしれません。

本来ならば、他のベビーファンドの影響がそれほどないはずだとしても、ベビーファンドのひとつが切り離されるほどの大きな解約があれば共同体として1つの船に乗っている他のベビーファンドも無事では済まされない結果(実質コスト1.14%)ってこと。

それならば、運用報告書には売買高比率が0.5%以上になってしまった場合は説明する義務があってもよいのではないでしょうか?

特にインデックスファンドの場合には、高コストに至った報告を臨む投資家も多いことでしょう。

今回の件では、販売戦略の影響でベビーファンドごと切り離すような大型な解約となりましたが、株式インデックスマザーファンドのようなベンチマークとの乖離が許されないシビアな世界でこのような行為をされたら困ります。

これらは結局、販売会社主導による手数料ビジネスに繋がっています。

いっそのこと、各社インデックスファンドのマザーファンドを合同しちゃえばいいのに…。
そしてドコモの無線通信インフラを利用して、独自のサービスを展開するMVMOのように、無数のインデックスファンド直販会社が誕生するのも面白い。

まぁ…夢のまた夢ですが…。
株式インデックスマザーファンドが販売戦略の食い物にされるのが続くようであれば、インデックスファンドの評判も落ちていきますので、個人的には『SMT 新興国株式インデックス・オープン』は正念場にあるといえます。

自分のコアファンドである、『世界経済インデックスファンド』もまた、同じ『新興国株式インデックスマザーファンド』に投資しているので、他人事ではありません…orz

今回の『SMT 新興国株式インデックス・オープン』の運用管理費用(信託報酬)が実質高コストであったことは、運用報告書を見ないと知ることができません。

米国の投資信託では、その他の費用も含めた経費率の表示が基本です。
日本の投資信託もまた、実質コストをハッキリ表し示すことが基本になってほしい!

P.S.

いっさんの突撃取材はとても素晴らしい!
ツイッターなどのSNSが普及して、個人投資家と運用会社などの交流も盛んになった現在でも、電話など基本的な突撃取材は超重要ですね!

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