
日本人のためのピケティ入門を読みました。
700ページもある原典を思いっきり要約しているので、ピケティの『21世紀の資本』をどこまで理解できているのか、甚だ疑問ではありますが、『日本人のためのピケティ入門』を読んで思いついた感想なんてものを書いてみます。
結論としては水瀬ケンイチさんのピケティの教えのメリットをもっとも簡単に享受する方法(梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー)とほぼ同じ結果でしたので、違った視点で書いています。
r>g だからこそ格差が起こる
rとは資本収益率
gとは国民所得の成長率
ピケティのいう「資本」とは広い意味で使われていて、株式・債券・不動産など、すべての資産の平均収益率…これ資本じゃなくて資産を含んでるだろ…というツッコミもありますが、所得以外の収入がrってこと。
g『所得の成長率』よりもr『資本収益率』のほうが大きいので、資本収益率が成長率を上回る。
格差は拡大する傾向があり、それは今後も続いていくというのがピケティの主張。
r>g だからこそ投資をする
※ここから先は、本書とは関係なく書いています。rとは、株式・債券・不動産など、すべての資産の平均収益率なのだから、投資信託を活用してインデックス投資をしていけば(平均収益率-ファンドのコスト)で追随することは可能になります。
そして本業をもつ大半のサラリーマンにとっては本業の稼ぎや賃金のベースアップや定期昇給がgに集約されています。
失業さえしなければ給与所得はrよりも、安定的なキャッシュフローを生みだす。
だからこそ、g(国民所得の成長率)はr(資本収益率)よりも、消極的な数値となっています。
r>g について、要約本である「日本人のためのピケティ入門」には説明がなかったのですが、rはリスク資産で日々価格が変動します。
このボラティリティはgにはないもので、rがより高いリターンとなる理由と言えます。
※原典のほうでrがもつボラティリティについて言及するページがあったらスイマセンm(_ _)m
一般人でも上位1%になれる権利をもった時代
さて、多くの日本人が無意識のうちに投資をしている年金の話。
年金は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)によって運用されているのですが、GPIFが策定している資料から期待リターンを知ることができます。
2014/10/31 年金積立金管理運用独立行政法人 中期計画の変更について(PDF)
(各アセットクラスの期待リターン)

(GPIFの期待リターン見積もり)

期待リターン(名目)は4.57%、標準偏差(リスク)は12.8%となっています。
新興国でもない限り、成長率(g)が4.57%を達成することは不可能でしょう。
だからこそ、コツコツ投資家は本業で稼いだキャッシュフローから、rを追随するべく投資をしていくのです。
ある程度の資産になると、rは毎日月収くらいの価格変動があります。
さらにある程度以上の資産になると、rは毎日年収くらいの価格変動となります。
リスクをとって資本投下をしているから、長期的には r>g が成立するピケティの主張はインデックス投資家には自身の行動を後押ししてくれることでしょう。
金融資産1億円がピケティの言う格差上位1%(Yahoo!ニュース)だとするならば、インデックス投資をしたことによって上位1%にとなった個人投資家を何人か知っています。
これから先は、金融資産1億円をインデックス投資で達成する場面を、もっともっと知ることになるかもしれません。
※インデックス投資が必ず儲かるという投資手法ではありません。
僕らは99%の大衆であり、上位1%になる権利をもつことも可能な新時代を生きているのです。
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