
モーニングスターのコラム(アナリストの視点)で、資金流出入額が多い売れ筋上位ランキングに登場するファンドと、ファンドを売却する人が少なく安定的に資金が流入している隠れ人気ファンドの比較が興味深いものでした。
(モーニングスター 2015-05-28)
夏のボーナス、“隠れ”人気ファンドはいかが?
最低限必要な要素だけを抜き出し、比較表を作りなおしてみました。
過去3年で資金流入超過の月が多いランキング(隠れ人気ファンド)
ファンド名 | 信託報酬(税込・%) | 決算回数 | 流入超過の月数 |
結い2101 | 1.09 | 1 | 36 |
eMAXISバランス(8資産均等型) | 0.54 | 1 | 36 |
J-REITパッケージ | 0.7 | 12 | 35 |
SBI資産設計オープン(資産成長型) | 0.73 | 1 | 35 |
しんきん 公共債ファンド | 0.55 | 2 | 35 |
eMAXIS 新興国債券インデックス | 0.65 | 1 | 35 |
トレンド・アロケーション・オープン | 1.18 | 1 | 34 |
ピクテ・アセット・アロケーションF(毎月) | 2.19 | 12 | 34 |
ひふみ投信 | 1.06 | 1 | 34 |
世界経済インデックスファンド | 0.54 | 1 | 34 |
過去3年の純資金流出入額の合計が多いランキング(人気ファンド)
ファンド名 | 信託報酬(税込・%) | 決算回数 | 流入超過の月数 |
ドイチェ・高配当インフラ関連株(米ドル)毎 | 1.9 | 12 | 24 |
新光 US-REITオープン | 1.65 | 12 | 27 |
フィデリティ・USハイ・イールドF | 1.81 | 12 | 19 |
ダイワ 高格付カナダドル債(毎月分配型) | 1.35 | 12 | 34 |
ラサール・グローバルREIT(毎月分配型) | 1.62 | 12 | 27 |
アジア・オセアニア好配当成長株(毎月) | 1.74 | 12 | 33 |
ピクテ 新興国インカム株式(毎月決算型) | 2.05 | 12 | 28 |
アムンディ・欧州ハイ・イールド債券(リラ) | 1.76 | 12 | 30 |
日興ピムコ Hインカム・S毎(リラ) | 1.83 | 12 | 31 |
アムンディ・欧州ハイ・イールド債券(豪ドル) | 1.76 | 12 | 36 |
人気ファンドと隠れ人気ファンドの違いでわかったこと
- 隠れ人気ファンドにはインデックスファンドが多い
- 隠れ人気ファンドのほうが運用コストが低い
- 隠れ人気ファンドのほうが決算回数が少ない
隠れ人気ファンドにはインデックスファンドが多い
人気ファンドの上位ランキングは、すべてアクティブファンドで構成されています。
それと比較して、隠れ人気ファンドをチェックしてしてみると、ランキングの半分はパッシブ運用をするインデックスファンドとなっています。
※機動的な資産配分をするトレンド・アロケーション・オープンはアクティブにして、eMAXISバランス・SBI資産設計オープン・世界経済インデックスファンドをパッシブ運用に分類。
隠れ人気ファンドのほうが運用コストが低い
表を比較すると一目瞭然で、資金流入月が多い隠れ人気ファンドの運用管理費用(信託報酬)は、1%を切るコストのファンドが目立ちます。
売れ筋の人気ファンドだと、1%後半・・・2%前後の高コストなファンドが目立ちます。
販売する側は、リターンに大きく影響するコスト(信託報酬)について説明していないのでしょう。
詳しく調べないで購入する投資家が多いってことも問題です。
隠れ人気ファンドのほうが決算回数が少ない
決算回数についても大きな違いがありました。
売れ筋の人気ファンドは、すべて決算回数12回『毎月分配型投資信託』と呼ばれるファンドです。
分配金とは、自身のファンドの純資産から切り崩して支払うものです。
ファンドが分配金を出した金額だけ、基準価額は低下します。
分配金を受け取った分だけ、基準価額は低下しています。
元本払戻金(特別分配金)ではない限り、通常の分配金は、20%(所得税15%、地方税5%)も課税されます。
日本の分配金は、投資家の元本まで可能にしている特殊な事情があります。
(参考記事) 国際比較でわかる日本の分配金の変|2012/01/28作成
配当・金利収入 | 値上がり益 | 投資家の元本 | |
日本 | ◯ | ◯ | ◯ |
米国 | ◯ | ◯ | × |
英国・フランス | ◯ | × | × |
投資家の元本まで支払いを可能にした分配金とは、自分の財布の中から小遣いをもらって喜んでいる状況に近い。
なんだか過払い金返還請求をして、戻ったお金を喜んでいる債務者と似ているような気もします。
決算を迎える回数だけ、分配金を吐き出す可能性が高まるのですから、決算の回数は少ないに越したことはありません。
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