
全面改訂 ほったらかし投資術 (朝日新書)を2回ほど読み終えました。
この『全面改訂 ほったらかし投資術』の著者の1人は、インデックス投資ブログ『梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー』の管理人である『水瀬ケンイチ』さん(@minasek)。
もう1人の著者は、楽天証券経済研究所客員研究員の山崎元さん(@yamagen_jp)。
『山崎元のマルチスコープ』や『評論家・山崎元の「王様の耳はロバの耳!」』など必見のコラムも多数の経済評論家です。
発売前から投信ブロガー・投資クラスタを中心に話題となっていました。
(参考記事)
2015.05.31 いよいよ6月12日に『全面改訂 ほったらかし投資術』が手に入ります!
2015.06.12 全面改訂 ほったらかし投資術を買ってきた【小ネタ】
ファイナンシャルプランナーや運用会社など業界の人ではなく、インデックスファンドやETFを活用して資産運用をしている投信ブロガーなので、経験をもとに役立つ情報が満載です。
実際の投資家として、第4章「ETF運用の現場を知りたい!」では、投信ブロガーならではの質問により、普段は知ることの出来ない回答がいくつもあり必見の内容となっています。
速読(メモなでし一気読み)→通読(メモ取りながら通常速度)で、『全面改訂 ほったらかし投資術』を読んでみたのですが、取りあえず気付いたところを備忘録がわりに書いてみます。
その後、『全面改訂 ほったらかし投資術』は売ることもなく、ボロボロになるまで熟読から重読のレベルまで読み続けていきたい一冊になりました。
もちろん、インデックス投資に興味のある人にオススメの一冊という意味です。
生活防衛資金の不一致点について
山崎元「ホンネの投資教室」で、既に生活防衛資金の不一致点について書かれていたので、本書では確認を含めて見たのですが、山崎さんと水瀬さんでは『生活防衛資金』の定義が少し違うのかな?・・・と感じました。
(P.48より引用)
たとえば、年収600万円で、金融資産を1000万円持っている会社員が、さらにお金を貯めずに株式や投資信託にお金を投じるのは早いと考えるべきでしょうか?
この文面でみると、山崎さんにとっての生活防衛資金は『月収・給与ベースの3カ月分程度』?
水瀬さんはブログでも過去に何度も発信されていて『生活費ベースの2年分程度』。
両者の不一致点についての内容は、どちらも『なるほどそうだ!』と思うところであり参考にするところはおおいにあります。
自分の場合は、過去数年間をさかのぼって、『風呂が壊れた』『家電の買い替え』『結婚式に呼ばれた』『ピアノ買った』『車を買った』『バイクを買った』・・・など、最大で必要になった金額をチェックすることが役立ちました。
家族構成(共働き?子どもの人数?)、家賃(親と同居の持ち家?賃貸?住宅ローン?)、車の所持など、生活防衛資金は人それぞれで絶対的な答えはありません。
自身はどうかというと、必要な資金がわかっている場合は投信の売却なども検討するので、山崎さんの3カ月分程度に近いものがあります。
DCにもNISAにもバランスファンドは不適切について
これは両者が一致していて、自分は不一致(現在時点)になったケース。
不一致と言っても、期待リターンの高い部分を非課税口座に割り当てるのが正解には賛同です。
本書では、DCに外国株式のインデックスファンド、NISAではTOPIX連動のETF、普通の証券口座でポートフォリオ比率の調整を推奨しています。
自分の場合は、DC(個人型確定拠出年金)とNISA枠を使いきろうものなら、普通の証券口座(特定口座)まで活用しきれません…orz
NISAや特定口座では、バランスファンドである『世界経済インデックスファンド』
DC(個人型確定拠出年金)では、EXE-iシリーズの均等投資
NISAは売買すると年内の非課税口座使用枠が減ってしまうので、バランスファンドの持つ『仕組みの強さ』を積極的に活用しています。
DC(個人型確定拠出年金)なら、資金の引き出しこそ出来ないものの、リバランスやファンドの乗り換えなどで課税されることがないので、NISA口座ほどバランスファンドを必要としません。
単純に自分が口座開設しているSBI証券の個人型確定拠出年金に、低コストで使えるバランスファンドが存在しないというオチもあります。
…というわけで、全体の最適化ではなく、DCならDC、NISAならNISAで部分最適しています。
ファンドの売り方について
今回の『全面改訂 ほったらかし投資術』にあたり、著者の1人である水瀬さんは、ブログを通じて本で取り上げて欲しいアンケートを企画していました。
その中から採用された『ファンドの将来の売り方』について
「お金が必要になった時に、必要な分だけ売ればよい」(P.167)
これには他の選択肢が思いつかないくらい自分も同意!
ただ、考え方のヒント3のところに
定額解約よりは、定率解約で(P.172)ともあります。
定額(毎月5万円など)で見るのか、定率(毎月5%ずつ取り崩しなど)で見るのか、どちらを採用するのか迷うかも。
定率解約ではなく、一定口数の解約(毎月5万口など)で取り崩す方法があってもよいかな。
現在時点の資産形成後(老後?)の考え方で言うと、年に1回どこかのタイミングで来年1年間の生活費を利益確定して、12分割(6分割もあり)してネット証券から銀行口座に移動する。
生活費といっても、ファンドの売却益だけで老後生活するわけではありません。
年金+αとして考えるから、老後の生活コストが思った以上に低コストだった場合は、年間で利益確定する金額は思ったより低いかもしれません。
そういった意味では、将来の自分は定率解約より定額解約を採用しそうです。
将来の自分(家族含め)の生活費はマーケットが決めるのではなく自分で決めたい。
コスト大事だけど本質の追求を強調している良書
最後に自分が一番好きな部分を紹介。
それは本文終了後の「あとがき」の部分にひっそりと書かれていました。
(P.239より引用)
今後、いつまたリーマン・ショック級かそれ以上の大暴落が来るのか分かりません。
いざ、そのような場面に遭遇した時、インデックス投資家を支えてくれるのは、信託報酬が他より0.01%安いファンドを持っているかどうかではなく、インデックス投資の「本質」が自分の腹に落ちているかどうかではないかと思います。
『全面改訂 ほったらかし投資術』は最新のインデックスファンドやETFを紹介・評価する「ミナセ・シュラン」など、インデックス投資の初心者が、ネット証券を選び、アセットアロケーションを決定し、ファンドを選び、実践していくところまで知ることができます。
インデックス投資は、初心者でも上級者と同じように真似ることも簡単にできる運用手法です。
ただ、頭に入ったインデックス投資が、しっかりと「本質」を理解して腹に落ちているかどうかは、大暴落・景気後退・低迷期を体験していかないと見えてこないものです。
流行りではないインデックス投資の文化が日本にも根付いて欲しい!
ちなみに、長期金利が2%を超えた時に著者両者は「修正版・マネー運用簡単マニュアル」を必ず書くことを約束している(P.44)ので、アップデート版に期待です♪(早っ!)
トップページのおすすめ本のところでも紹介しているのでそちらでもどうぞ。
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