
投資信託を選考したアワード(賞)が様々な場所から毎年発表されています。
- それぞれのアワードがどのような選考基準となっているのか?
- どのアワードが長期コツコツ投資となる現役世代にとって参考になるのか?
意外と知らないこと(興味を持っていなかった!?)ばかりでしたのまとめてみました。
ピックアップしたアワードはこちら
- ファンド オブ ザ イヤー(モーニングスター)
- リッパー・ファンド・アワード(リッパー)
- R&Iファンド大賞(格付投資情報センター)
- 投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2015
- 一億人の投信大賞
- 楽天証券ファンドアワード(楽天証券)
ファンド オブ ザ イヤー(モーニングスター)
投資信託のアワード(賞)と言ったらモーニングスターのファンド オブ ザ イヤーを思いつく人が多いのではないでしょうか?
ファンド オブ ザ イヤー(モーニングスター)の選考基準はこのようになっています。
1.定量評価
一年間の運用実績を重要視するが、それ以前の長期的なパフォーマンスも考慮する場合がある。また、各部門における類似ファンド分類別の特性を鑑みて、候補ファンドが特定の分類に過度に片寄らないよう配慮している。
2.定性評価
一年間の運用実績が、どのような運用方針、運用プロセスによって達成されたか、運用・調査体制やその継続性、リスク管理体制、ディスクロージャーの状況なども考慮する。選考プロセス 分析方法 | モーニングスター アワードより引用
結果だけでなく運用体制や運用プロセスといったポイントまでを評価の対象としているのがモーニングスターのファンド オブ ザ イヤーの特徴となっています。
当年の運用結果がトップクラスでなくても成績が上位で、管理体制や運用調査体制などがしっかりしていれば『ファンドオブザイヤー』の候補に入ってくるようです。
参考モーニングスター朝倉社長が語る「優れた投信の選定基準」とは?|ZUU online
個人的には運用結果がトップクラスでなかったら、候補には入れても来年以降の返り咲きを期待して入賞まではいかないようにしたほうがわかりやすい。
運用管理費用(信託報酬)についての評価がないのは不満ですし、モーニングスターのファンド オブ ザ イヤー受賞ファンドだからという理由でファンドを選ぶことはないかな。
リッパー・ファンド・アワード(リッパー)
楽天証券のサイト内でリッパー・ファンド・アワードの選考基準がわかりやすく解説されていましたので引用させていただきます。
選定・評価に際しては、リッパー独自の投資信託評価の中の「コンシスタントリターン(収益一貫性)」を用いています。
リッパーでは、販売動向という要素は一切考慮せず、残高による足きりも行っていません。
このため、残高の規模が小さくても、中長期に渡って安定した成績を収めていれば優秀ファンドとして選定される可能性があります。
反対に、人気が高く、大規模な残高を誇るファンドでも、評価基準を満たさなければ選定されません。
アナリストによる私見が一切入っていない、完全定量のファンド評価です。
こちらはモーニングスターと違い、定性評価がまったく入っていない完全定量のファンド評価のアワードとなっています。
2015年から確定拠出年金(DC)ファンド部門も始まりました。
定性評価がまったくないので早期償還リスクがありそうな資産規模の減少しているファンドもスクリーニングして残ってしまう可能性があります。
R&Iファンド大賞(格付投資情報センター)
R&Iファンド大賞はシャープレシオを重視していました。
今回の引用では
「NISA」では2015年3月末における…とありますが2015年アワードでの話ですので、来年以降は「NISA」では○○年3月末における…」となります。
定量評価は、「投資信託」、「確定拠出年金」、「NISA」では"シャープ・レシオ"を採用、表彰対象は設定から3年以上かつ償還予定日まで1年以上の期間を有し、「投資信託」及び「NISA」では残高が30億円以上かつカテゴリー内で上位50%以上、「確定拠出年金」では残高が10億円以上かつカテゴリー内で上位75%以上、「NISA」では2015年3月末における過去3年間の月次収益率の標準偏差(年率)が30%以下の条件を満たすファンドとしている。
選考基準|R&Iファンド大賞より引用
投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year
証券会社の宣伝やうたい文句にまどわされず、自分たちにとって本当によいと思える投資信託を投信ブロガーたちが1人5ポイント投票できる仕組みです。
投資信託について一般投資家の目線でつねに考え、情報を集め、ブログを書いている投信ブロガーたち。投資信託の事情通である彼らが支持する投資信託はどれか?
証券会社の宣伝やうたい文句にまどわされず、自分たちにとって本当によいと思える投資信託を投信ブロガーたちが投票で選び、それを広めることで「自分たちの手でよりよい投資環境を作っていこう!」というイベントです。
アワードでもあり個人投資家参加型のイベントでもあります。
現状ではインデックス投資家にとって、もっとも身近でもっとも参考になるアワードが「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」と言ってもいいでしょう。
難点を強いてあげるとすれば、他のアワードと違いカテゴリ別に分けられていないので年度によってはアセットクラスが偏ることもあるでしょう。
昨年は海外株式ばかり、一昨年はバランスファンドばかり…と偏ったポートフォリオになりますので、ランキング上位に入ったファンドを購入すれば間違いないって思ったらダメですよ。
一億人の投信大賞
「普通の人が普通に長期投資で資産形成をする」をテーマにしているので当ブログの趣旨(国際分散投資や長期コツコツ積立など)にも非常に親和性があります。
短期で値上がりする、大きく儲ける、という投機的な投資は念頭にありません。と言い切っているアワード!なんて稀有な存在でしょうか!
○ 対象ファンドの絞込み
・前年10月末時点
・ ETFを除外
・ SMA・ラップ専用を除外
・ DC専用を除外
・ 決算回数:年12回(1568本)、6回(61本)、4回(265本)を除外
・ 基準月末純資産30億円未満を除外
・ 運用実績3年未満のものを除外
・ 過去36か月のうち資金純減月数13か月以上のものを除外
・ その他資産などと、ブルベア型など短期投資向けを除外
・ 投資テーマ対象通貨(日本円以外)など限定される「特化型」を除外
○ 優秀ファンドの選定
・アクティブ投信は対ベンチマーク超過リターンが高いもの(各月のベンチマークと比較した勝率)
・パッシブ投信はトラッキング・エラーが小さいもの
・シャープレシオが高いもの
・資金流出入の標準偏差が小さいもの
・同点の場合は、アクティブは3年のリターンが高い順、パッシブはトラッキングエラーが小さい順、アクティブとパッシブはリターンで順序を決める選考基準|一億人の投信大賞より引用
アクティブファンドで長期保有に適したファンド選びを探すのならば参考になりそうです。
インデックスファンドもトラッキングエラーをチェック項目にしているので参考になります。
運用実績が3年ないと選考対象にならないので、最近設定された低コストインデックスファンドはしばらく登場しませんが、一億人の投信大賞で選出されているインデックスファンドはインデックス投信マニアが好んで保有しているファンドがいくつも受賞しています。
楽天証券ファンドアワード(楽天証券)
2016年から楽天証券が、個人投資家の視点を反映しファンドを表彰する楽天証券ファンドアワードを始めました。
選考委員に投信ブロガーの水瀬さんやrennyさんがいるので身近に感じます。
参考「楽天証券ファンドアワード」の投票受付開始。選考委員でも投信ブロガーでもなくても投票できる|梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー
参考楽天証券ファンドアワード、投票受付開始|rennyの備忘録
8部門の優秀24ファンドはすでに公表されていますが、各部門1ファンドずつ、計8ファンドの最優秀ファンドは楽天証券の口座を保有していれば投票・選考できる仕組みとなっています。
楽天証券で投資信託を購入する層は、コスト意識の高い人達という印象がありますので、最優秀ファンドがどのように決まるのか注目しています。
※自分は楽天証券の口座を開設していないので投票できません。
個人投資家が参考となるアワードは○○
いくつもある投信アワードを紹介しましたが、結局、上記の3アワードではなく、下記の3アワードを推します。
理由はいたってシンプルで、個人投資家の視点で選ばれたファンドであることと、個人投資家の視点で選ばれているからこそ上記の3アワードの受賞ファンドと比較して運用管理費用(信託報酬)が低いファンドが選ばれている傾向があります。
※楽天証券ファンドアワードの最優秀8ファンドは3月下旬発表
できることならアワードに選出されるような日本を代表するアクティブファンドは、日本の平均的な信託報酬より低いファンドが受賞されていってほしいし、受賞されたファンドは自発的に信託報酬の引き下げなどで投資信託業界を世界基準に近づけていってもらいたいものです。
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