
ETFの有価証券報告書や届出書には対象指数の使用料が明記されているのがわかったので、主要な株式指数がどの程度のライセンス料となっているのかをEDINETから調べてみました。
参考 対象指数の使用料(ライセンス料)は一律料金ではなかったという話
やはり興味をもつのはニッチな指数ではなく日頃お世話になっているメジャーどころです。
海外株式指数でもっとも利用されている「MSCIコクサイインデックス(円換算ベース)」に連動する【1550】「MAXIS海外株式(MSCIコクサイ)上場投信」(信託報酬0.25%程度)はこんな感じ。
対象指数についての商標(これに類する商標を含みます。)の使用料(信託財産の純資産総額に年0.05%(上限)を乗じて得た額)は、毎計算期末または信託終了のとき信託財産から支払うことができるものとします。
MAXIS海外株式(MSCIコクサイ)上場投信
対象指数についての商標(これに類する商標を含みます。)の使用料(信託財産の純資産総額に年0.0324%(税抜年0.03%)(上限)を乗じて得た額)は、毎計算期末または信託終了のとき信託財産から支払うことができるものとします。
MAXIS トピックス上場投信
日経平均株価(日経225)ETFで信託報酬がもっとも低コスト(税抜0.14%)な【1397】「SMAM 日経225上場投信」はこんな感じ。
対象指数の商標(これに類する商標を含みます。)の使用料および消費税等に相当する金額および契約事務手数料(32.4万円(税抜き30万円))は、信託財産中から支弁することができます。
2016年1月8日現在、商標使用料はファンドの純資産総額に年0.027%(税抜き0.025%)の率を乗じた額です。SMAM 日経225上場投信
JPX日経インデックス400ETFで信託報酬がもっとも低コスト(税抜0.17%)な【1474】「DIAM ETF JPX日経400」はこんな感じ。
対象指数についての商標(これに類する商標を含みます。)の使用料(信託財産の純資産総額に対して最大年率0.0432%(税抜0.0400%))は、信託財産から支払うことができるものとします。
DIAM ETF JPX日経400
米国人にとってのメジャー指標であるダウ・ジョーンズ工業株30種平均株価(円換算)のETFもおまけに(信託報酬税抜0.45%以内)【1546】「NEXT FUNDS ダウ・ジョーンズ工業株30種平均株価連動型上場投信」
※平成28年4月27日現在、受益者の負担する商標使用料等は以下の通りです。
・純資産総額に対し、年率0.06%以下。
ただし、1年当たり最低6万米ドル相当額を最低金額とする。(1年当たり年率ベースの金額が最低金額を下回る場合は、当該期間の商標使用料等は、当該最低金額とする。)NEXT FUNDS ダウ・ジョーンズ工業株30種平均株価連動型上場投信
以前から指数のライセンス料は0.05~0.07%とも言われていて、メジャーな指数ほど低く、ニッチな指数ほど高いライセンス料の印象です。
今回の調べた範囲内では、指数のライセンス料は0.025%~0.06%でした。
東証に上場しているETFでも、米国に上場しているETFの重複上場(JDR)の対象指数の使用料はわかりませんでした。
日興アセットマネジメントの対象指数の使用料は、すべて「その他の費用」全体(0.1%)に含まれてしまっているので対象指数の使用料のみを調べることはできませんでした。
上記の指数の使用料を見ると、ETFの信託報酬の取り分の三分の一以上にも及びます。
低コストなインデックスファンドの運用会社の取り分で見ても三分の一以上にもなります。
参考 ベンチマークのミステリー(2012.10.15)
参考 「MSCI」がインデックス(株価指数)の代名詞と呼ばれなくなるかもしれない。|モーニングスター朝倉智也が投資信託を語る!
日本のインデックスファンドは米国と同様に低コスト化に向かった結果、ベンチマークを利用するライセンス料は全体の費用に対する割合で見ると年々高くなってきました。
仮にネット証券で販売されている低コストなインデックスファンドのベンチマークである「MSCIコクサイインデックス(円換算ベース)」の使用料を先ほど調べた「MAXIS海外株式(MSCIコクサイ)上場投信」と同等の年0.05%とすると、「たわらノーロード先進国株式」や「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」における指数の使用料は、信託報酬の運用会社取り分の半分近くになってしまいます。
※実際はその他の費用として信託報酬の他に徴収されます
日本のインデックスファンドの低コスト化も、指数の使用料がこのレベル(0.025%~0.06%)であるとすると、信託報酬における運用会社の取り分は限界まで低下してきているのを実感します。
投資信託と違い、株式市場に上場するETFではベンチマーク(指数)は必須条件です。
ETFという金融ツールは
最低3つの関係会社がタッグを組まないと、
めでたく運用を始めることが出来ません。
1.運用会社(プロバイダーと呼ばれます)
2.指数提供会社
(文字通り、連動する指数を提供してくれます)
3.証券取引所(上場する舞台そのものですね)バークレイズがMSCIへ指数ビジネスの売却を検討|カン・チュンドのインデックス投資のゴマはこう開け!より引用
米国で唯一上場しているETF運用会社のWisdomTreeでは、指数を自社開発して、自分たちのETF運用に生かすことでライセンス料を支払わずに投資家に還元しています。
バンガードがベンチマークとなる株価指数をMSCI指数からより低コストなFTSEの株価指数に変更すると発表したのが2012年10月。
もしかしたら日本でも、近い将来、運用会社が低コストな指数の乗り換えであったり、指数を自社開発する日が来るかもしれませんね。
それほどトータルコストから見る使用料は投資信託、ETFともに小さくはない存在になりました。
(追記 インデックスファンドの各対象指数の使用料について)
参考 低コスト競争が激化する中、インデックスファンドの注目ポイントは? 〜「投資信託をもうちょっと身近に感じてみよう勉強会」第3回レポート〜 - "いい投資"探検日誌 from 新所沢
ブログ「"いい投資"探検日誌 from 新所沢」のm@(エムアット)さんが「投資信託をもうちょっと身近に感じてみよう」勉強会の3回目に参加された時に、ETFではなくインデックスファンドでの各対象指数の使用料(ライセンス料)について書かれていたので保存メモしておきます♪
インデックス使用料は年々値上がり傾向にありますが、一般的にインデックス使用料を個別のファンド決算につけることはなく、会社負担という形で運用会社が受け取った全てにファンドからの収入から支払われるそうです。低コスト競争が激化する中、インデックスファンドの注目ポイントは? 〜「投資信託をもうちょっと身近に感じてみよう勉強会」第3回レポート〜 - "いい投資"探検日誌 from 新所沢
上記によると、インデックスファンド単体での対象指数の使用料(ライセンス料)はかからないので、保有コストに組み込まれるETFより、対象指数の使用料(ライセンス料)の支払いという点ではお得ということになりそうですね。
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