
ニッセイアセットマネジメントが運用する外国株式インデックスファンドで、2016年11月10日におけるファンドの運用実績とベンチマークとの乖離が、通常の水準と比較して大きくなっていたことがツイッターや投信ブログで話題になりました。
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドとDCニッセイ外国株式インデックスで臨時レポートが出ています。
ベンチマークと運用実績の乖離について|<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド(PDF)
ベンチマークと運用実績の乖離について|DCニッセイ外国株式インデックス(PDF)
11月9日(日本時間)はアメリカ大統領選挙の結果を受けて、為替が一旦円高に大きく揺れる局面がありました。
11月10日にマザーファンドに大きな資金流入が見込まれたため、これまでと同様、ベンチマークとの連動率を高めるべく、必要な為替取引を9日にTTMに合わせて実施しました。
しかしながら、米国大統領選挙の開票につれ、大きく円高が進行したことで、TTM※が日中に変更されたため、結果としてベンチマークと運用実績の乖離が発生することとなりました。ベンチマークと運用実績の乖離について(PDF)より引用
つまり「ニッセイ外国株式インデックス マザーファンド」に大きな資金流入が見込まれた(10日)ので、必要な為替取引を9日に実施したけど、大きく円高が進行したことで、TTMが日中に変更されちゃって乖離が発生した。
水瀬さんが今回の件で直接問い合わせた貴重な話があるので必見!
参考 ニッセイ外国株式インデックスファンドが一発やらかしたようです|梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)
う~ん。タイミングが悪いというか、こういうことってあるんですね…。
TTMが日中に変更されたとしても、2016年11月10日における他社のインデックスファンドでは<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドほどベンチマークとの差は出ていません。
参考 ニッセイ外国株式インデックスファンドの不審な挙動|投信で手堅くlay-up!(インデックス投資ブログ)
問題となった2016年11月10日前後の「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」と「DCニッセイ外国株式インデックス」の純資産残高推移を見ても特別大きな資金流入があったようには見えません。
日付 | 購入・換金手数料なし | DC |
2016/11/07 | 32015 | 1510 |
2016/11/08 | 32838 | 1555 |
2016/11/09 | 32412 | 1531 |
2016/11/10 | 33801 | 1593 |
2016/11/11 | 34239 | 1615 |
2016/11/14 | 34403 | 1619 |
2016/11/15 | 34570 | 1627 |
2016/11/16 | 35151 | 1665 |
2016/11/17 | 34974 | 1737 |
2016/11/18 | 35560 | 1782 |
両ベビーファンドとは関係のないところで大きな資金流入があったってことでしょう。
今回のニッセイアセットマネジメントの乖離の件を見た時に、以前の「SMT 新興国株式インデックス・オープン」で今回と似たような体験があったことを思い出しました。
参考 やはり実質コストの表示が重要だという話(2014-12-14)
このSMT新興国株式インデックス・オープンと同じマザーファンドのベビーファンドで大きな解約が入ったカタチになった(詳細は社外秘なのだそうですが、ラップ口座の販売戦略の影響で、ベビーファンドごと切り離すような大型な解約がマザーファンドに入ったカタチになった)とのことで、今回、突発的に売買高比率が上がって、売買高比率、有価証券取引税、保管費用等に大きな影響があったということです。
当時、「SMT 新興国株式インデックス・オープン」の実質コストが異様に高かったことを、ブログ「資産形成は時の流れにまかせて。」のいっさんが電話取材で問い合わせたところ、上記のような回答がありました。
「SMT 新興国株式インデックス・オープン」の件では、基準価額で異変に気付かずに運用報告書でわかったことですが、マザーファンドに急激な資金流出入という点で、今回の2つの「ニッセイ外国株式インデックスファンド」と問題の構造は似ています。
急激な資金流出入によるベンチマークとの乖離は、ニッセイアセットマネジメントに限らず、どの運用会社のどのファンド(主に海外資産)にも起こりうること。
今回の「マザーファンドに大きな資金流入が見込まれた」も、以前の「同じマザーファンドのベビーファンドで大きな解約が入った」も防ぎようはなかったのでしょうか?
もしもマザーファンドの純資産規模に対して、大きな資金流入や大きな解約が入った場合には制限をしてもいいのではないかと考えちゃいます。
大きな資金流入は運用会社にとって収入増となるので、断ることは勇気のいることですが、何回かに取引を分散してもらうなどあっても良いような気がします。
純資産残高が少ないのに大きな資金流入や大きな解約が入るのは、例えるならばワンオペ(店内を1人で営業)で回している牛丼屋に大量の注文をして店外にまで客の行列が絶えないようなものです。
牛丼屋の本社は儲かってウハウハですが、現場の店舗では大変な状況です。
インデックスファンドの純資産残高は急激なアップダウンを伴う人気ファンドになることではなく、理想は長期で着実に積み上がってくファンドでありたい。
米国のバンガードでは(大口取引ではなくポートフォリオの変更の話ですが)段階的に時間をかけて動かすことで、コストの負担など受益者の迷惑にならないような配慮があります。
機関投資家に比べたら超小口で影響なんてほとんどない個人投資家の1人ですが、為替や株価が乱高下するようなタイミングでのファンド解約は、改めて控えようと再確認できました。
個人投資家がするべきことは自分のできる範囲でするべきだし、運用会社がインデックスファンドの運用に期待するべきことはベンチマークと乖離するおそれがある大口取引の注文は場合によっては制限してほしいな…と。
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