
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、日本の上場企業の半数以上にあたるほぼ2000社で、保有比率が上位10以内の大株主となったこと(日本経済新聞)。
参考 GPIF、2000社の大株主 日本の上場企業の半数超 トヨタなど保有額増加:日本経済新聞
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が国内外の株式への投資を増やす運用改革を決めてから約3年。3月末時点では、日本の上場企業の半数以上にあたるほぼ2000社で、保有比率が上位10以内の大株主となった。
GPIFの運用状況はGPIFが2016(平成28)年度運用状況を公表!好調な成績を維持していますを見ればわかりますが、2016(平成28)年度運用状況は+7兆9363億円(+5.86%)と好調でした。
今回の日経記事にあるような上場企業の多くの大株主がGPIFになる話を、今月行われたインデックス投資ナイト2017でGPIFの中の人に直接聴いてきました。
GPIFの運用資産145兆円のうち国内株は35兆円。日本株の時価総額の約6%がGPIFの保有です。このまま国内株に投資し続けると、市場全体への支配力が大きくなるのでは?
森氏 基本配分では国内株は25%です。厚生労働省から運用目標が与えられていて、賃金上昇率プラス1.7%をなるべく低いリスクで達成するような配分にしています。日本株をどんどん増やすわけではありません。配分は5年ごとに見直します。今は債券の金利が低いから株が多くなっていますが、経済が普通になって金利が高くなれば、また債券の比率も上がるかもしれません。
引用元はインデックス投資ナイト2017の会場にいた田村記者さんの記事です。
こうしてみると、結果的に現在は国内株式比率が25%なので国内株式の半数以上の2000社で大株主となりましたが、現在の時点で目標比率に達しているので、これ以上の国内株式の買い増しは頭打ちになるところまで来ています。
GPIFは日本国民の年金積立金を管理しているところです。
GPIFは直接、株式や債券の売買をしているのではなく各運用会社の機関投資家向けの超低コストファンドを通じて「間接的」に投資しています。
企業価値の向上や持続的成長を促すことで被保険者のために中長期的な投資リターンの拡大を図ることは、年金積立金の性格からも適切であり、特に国内株式を長期的に多く保有しているGPIFとして重要です。そうした観点から、スチュワードシップ責任を果たしてまいります引用元:【4】株式投資においては、スチュワードシップ責任を果たすような様々な活動を通じて被保険者のために中長期的な投資収益の拡大を図る。 | 年金積立金管理運用独立行政法人
そして各運用会社は続々とスチュワードシップにのっとり、議決権行使など投資先企業がより良くなるための働きかけをしているところが増えてきました。
こうして見ると、GPIFが直接企業を支配しているわけではなく、中長期的な視点から企業価値の向上や持続的成長を促すのならば、まんざら悪くないようにも感じます。
まぁ大株主どころか日本中の上場企業の筆頭株主にもなったら別の問題も起きるのでしょうが、現在の時点で国内株式比率25%のかなり高いアセットアロケーションを組んでいて、投資目標比率に達しているのですから、これ以上の急激なGPIF買いは起こりづらいでしょう。
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