
日本の投資信託には、同じような中身の投資信託が運用会社には何本もあるのですが、それらが1本にまとめられることは簡単に見えて実現は難しいとされていました。
日本経済新聞によると野村アセットクラスが運用する「野村インデックスファンド・国内債券(Funds-i 国内債券)」と「野村ターゲットプライス『日経225』(国内債券運用移行型)」の投資信託の併合をするとのことです。
参考 ファンド併合の実施について|野村アセットマネジメント(PDF)
参考 公募投信、初の統合 「ゾンビ投信」整理へ転換点 野村アセット、2投信をひとつに|日本経済新聞
野村アセットは運用する「インデックスファンド・国内債券」と「ターゲットプライス『日経225』(国内債券運用移行型)」の2本を統合し、「インデックスファンド・国内債券」を残す。運用内容は2投信とも同じだった。統合は来年5月に行い、販売会社の野村証券が投資家に通知する。
公募投信、初の統合 「ゾンビ投信」整理へ転換点 野村アセット、2投信をひとつに|日本経済新聞より引用
言葉だけは知られていた投資信託の併合ですが、金融庁は併合を促進するために10月頃の日本経済新聞の記事によると2019事務年度の行政方針に投資信託の併合推進を明記していたようです。
参考 金融庁、投信併合を推進|日本経済新聞
投資信託の併合を進めてほしいのは、アクティブファンドよりもインデックスファンドでしょう。
インデックスファンドは投資対象と同じ値動きになるように設定された投資信託なので、1社で何本も似たようなインデックスファンドを運用していくメリットはありません。
ひとつのマザーファンドに何本もインデックスファンドがぶら下がるのは無意味
国内のインデックスファンドシリーズを運用している運用会社では、純資産残高が伸びずに利益の見込めない赤字状態の投資信託が何本もあります。インデックス投資の古い世代にとっては、SMT(旧STAM)が誕生するまでは選べるアセットクラスがない状態から始まっているので、現在のように各社が全アセットクラスを揃えている環境は満足以外の何物でもありません。ただ、何年経ってもまったく売れていない投資信託についてはそろそろ...
それぞれの運用会社が運用している投資信託のラインナップを見ても、中身は同じインデックスファンドなのに保有コストに違いがある投資家を騙すようなファンドが混ざっているのが現状です。
昔はDC専用投信(iDeCo)が一般販売されている投資信託よりも低コストだったりしたものですが、つみたてNISAの誕生をキッカケに現在はiDeCo向けファンドも一般販売されている投資信託も信託報酬に違いがなくなりました。
そうなってくると、あの手この手と手法を変えるような投資信託を乱発する必要はなくなり1本の投資信託に集中することが、投資信託を運用している運用会社にとってのフィデューシャリー・デューティー宣言(顧客本位の業務運営)の行動と評価されます。
これらが大きな1つにまとめられるのであれば、運用会社にとっても効率が良いですし、投資家側にとってもスケールメリットの恩恵で「その他の費用」などが低コストになります。
今回の野村アセットマネジメントの一件はまだはじまりの一歩に過ぎません。6000本近くある国内の投資信託には同じように1本の投資信託に併合できるようなものがまだまだあります。
「eMAXIS」が「eMAXIS Slim」に、「SMT」が「i-SMT」に、こういうことがどこよりも早く実現できた運用会社のインデックスファンドは間違いなく投資家からの信用を得られることでしょう。
さらに願うのならばマザーファンドの併合です。
いま現存している運用会社には、いくつかの運用会社が合併しているところもあります。
合併前にそれぞれの運用会社が持っていたマザーファンドが、合併によりひとつの大きなマザーファンドになることを期待されていても実現できなかったりしていました。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの「SMTインデックスファンドシリーズ(旧 住信アセットマネジメント)」と「インデックスeシリーズ(旧 中央三井アセットマネジメント)」は合併によりファンドも1本になることを期待していましたが、いまだに実現できていません。
そういうところにも将来的には大きな変革を感じさせる、小さいけれど大きな一歩を感じさせる今回の発表でした。
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