前回の記事では記者さんの「大証、東証に新しいETFが次々と上場していますが、なかなか売買が増えません。
上場するETFが、投資家のニーズに合っていないのではないかと考えています。」について考察してみました
今回は「ほかにはどんなETFが上場すれば便利でしょうか?」と言うもうひとつの取材テーマに進みます
個人投資家から出た結論は多様・・・と言うよりもむしろシンプルです。
それほど沢山のETFが必要なのではなく最低限これだけはっ!と言うETFにニーズが集中しています。
個人投資家の意見が割れずに同じ結論と言えるのは
海外株式インデックスと言える存在です
これさえあれば他の海外ETFはその次にリリースすればよいと確信しています。
具体的に商品を言うと
現在保有しているTOPIXのETFや国内の個別の株式のリスクを下げるために日本を含まない外国株式インデックスである
「MSCI・コクサイ・インデックスに連動したETF」
これから資産運用を始めたい投資家初心者に無条件でオススメできる1本のファンド。日本を含めた先進国株式インデックスである
「MSCI・ワールド・インデックスに連動したETF」
そしてMSCI・コクサイ・インデックスに新興国を含めた全世界インデックスである
「MSCI・オール・カントリー・ワールド・インデックスに連動したETF」
(取材後に気付いて修正ですが08年3月末の国別トップ10では日本が7.73%含んでいますのでワールド+新興国ですね?)
国際分散投資が最近の投資のキーワードになっているが、個人投資家はこの3本のETFのいずれかを核となる存在に考えています
それぞれがニーズの存在するETFとなりますのでこれを最初に国内市場にリリースするべきである。そしてほぼすべての個人投資家は同様の意見です
時価総額別やセクター別のETFなどは食事で言えばスパイスやサラダ的な存在なのでもともとメインディッシュとなるETFがない以上、ニーズもないのは当然の結果なのです。ETFを登場させる順序が逆になっているのが国内ETF事情だと思いますし個人投資家のニーズにこれから先、答えられないようだと個人投資家の資産はどんどんと海外ETFへ流出してしまう事態は避けられなくなっていきます。
まずはローカルではない核となる海外株式ETFの上場が必須条件になります
その次に(もしくは同時に)来るのがシティグループ世界国債インデックスに連動したETFです。
簡単に言えば債券ETFです。これもニーズがとても高いです。
ニーズが高い理由は簡単で金ETFを除けば現状の証券取引所は上場されているモノの大半が株式とほんの少しのJ-REITで構成されています。
なにを選ぶにしろ高リスク商品ばかりなのです。
だからこそ債券ETFは非常に高いニーズが生まれます
大切なことは現状の国内ETF事情はまったくニーズに応えていない状況が続いているわけですから今後の戦略としては一番関心の高いモノを一番最初に市場に投下するべきです。
国内金融市場に活気を取り戻すためにはそれくらいの起爆剤的な材料が必要でしょう?
繰り返し言うとニーズの低いETFをリリースするたびに個人投資家は海外へ逃げる時代になっています
順としては伝統的な投資(株式・債券)の次にくる代替投資としての東証REIT指数連動ETFであったりグローバルREIT連動ETFであったりが来るべきでしょう
現在までJ-REITのETFが存在していないこと自体が異常だと思いますが・・・。
バリューETFやコモディティ(商品先物)ETFやレバレッジETFやアクティブETF・・・それに最近大量にリリースされている新ETFの登場は本来であればこれらの次に来るべき商品なのです。
順序が逆なのだから売買が増えないのは当然の結果でしょう。
コース料理なのに最初から最後までサラダを出されてもお客は困ってしまいます
もう一度、個人投資家から出た結論を簡単に言うと
「それ1本ですべてを解決される世界中に分散されたインデックス」
本来、資産運用を考えたときにこれ以上あれこれ悩みたくはないのです。
もうひとつアンケート結果で興味深かったのがETFの購入単位です
株式とは基本的に利益を出し続けている以上は自己増殖をし続ける存在です。
それらの集合体であるETFも効率的に自己増殖をし続けます。
資金の需給によって価格の上下は当然あるのですが長期的に見ればインフレを上回るペースで右肩上がりに価格は上がっていくのですからいずれ購入金額が個人投資家の財布の中からはなかなか手が出ない状態になってしまうでしょう。
ほんの数年前までは8万円を切る価格が昨年の高値では18万円という短期間で2倍近い価格の変動があったのがその証拠です。
もしも金融庁や東証や大証など証券取引所が改革を行うとすればここにも個人投資家のニーズが存在するのです。
現在100口単位で購入するのが当たり前な風潮ですがこの当たり前を撤廃すると非常に興味深い結果になります
もしも改革を考えるのであれば給与引き落としでETFを買えるくらいの手軽さが実現出来して欲しい。そうすれば日本の
「貯蓄から投資へ」
「投資立国へ」
このふたつが達成されるのではないでしょうか?
1口単位や既存のETFの変更が難しいのであれば「TOPIX B」なるモノを作ってある程度の基準価額を超えたら自動的に口数分割がされるETFを新規上場させるのもひとつの考えとして面白いアイデアです。
世界第2位の資産家バフェットの会社バークシャー社も既存の投資家向けに株式分割を行わないA株と個人投資家が買いやすいように株式分割をして金額を抑えたB株を用意しています。
大切なことは個人投資家に買いやすい状況を売り手側が準備をしてあげることなのです
現在のTOPIX ETF(仮にTOPIX A)をさらに低コストにすればどちらも需要を両立することが可能になるのではないでしょうか?
「低コストのA株」「個人投資家向けのB株」・・・株券の電子化が進んだら是非とも実現してもらいたい改善提案です
日経ヴェリタス「ETF、不振の理由」まとめ
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