ある意味では最も養老さんにとって気合いを入れた作品なのではないでしょうか?
まぁ実際は執筆したのではなく、しゃべったことを新潮社の後藤さんが文章にしたのだけれども…。
バカの壁では様々な現代にちなんだ流行りのテーマを取り上げていたけれど
今作品はすべて「死」について語り尽くしています。
読み終えて思ったことは「死」に対してこれほど現実的に書かれたモノってあったかな?と言う感じです。
「死」について哲学者も霊の存在に触れたりそれなりに書かれた書物もありますし実際にいくつかは読んだこともあります。
しかし哲学者が脳の中で考えついた言葉よりも
数えきれない程の死体の解剖をおこなった養老さんの語り口のほうが現実的なのは当たり前なのかもしれません。
普通に「死」を語るならば霊を取り上げるのが自然ですが「死の壁」では一回も登場しないのも特徴的です。
「死」と「死体」、「人」に「人間」、そして人にあらずの意味の差別語の「非人」…
死をキーワードに深く深く語りかけるいくつものテーマに快感さえ覚えます。
今現在、いじめや自殺がニュースでよく目にしますがそれも「都会化」された日本のひとつの象徴と言えるでしょう。
死について別に興味がなくても読み物として面白くページがすすむにつれて頷きたくなるような内容です。
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