学問に大切なことは、学ぶことと考えることだ。
学んだことだけで考えないと、道理の中心がつかめない。だからいつも行き当たりばったりだ。
ちょうど真っ暗な室で、柱をなでたり、戸をなでたりするようなもので、個々の事がらを全体のなかに統一してみることができないのだ。
むろん考えただけで学ばないのもいけない。
自分の主観に捉らわれて、先人の教えを無視するのは、ちょうど一本橋を渡るように危ういことだ。
向こうまで行きつかないうちに、いつ水の中に落ちこむかしれたものではない。
事がらによっては、いくら考えても何の役にもたたないことさえあるのだ。
子曰わく、吾嘗て終日食わず、終夜寝ねず、以って思う。益無し。学ぶに如かざるなりと。 (衛霊公篇)
いつだったか、私は食うことも寝ることも忘れて一昼夜も考えこんだことがあるが、何一つ得るところがなかった。
そんな時、古聖人の残された言葉に接すると、いっぺんに道理がわかるのだ。
とにかくどちらも軽んじてはいけない。学びつつ考え、考えつつ学ぶ、これが学問の要諦だ。
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