マクロ経済学の本ですが「複雑そうに見える物事の本質は単純である」とあとがきにあるように専門用語はほとんどなく読みやすいと思います

経済を動かす単純な論理経済を動かす単純な論理
(2009/04/24)
櫻川昌哉

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気になる小さな点としてP.50の

「例えば1000万円の預金を複利で1%の金利で5年間回していくと、約1050万円です。
一方、同じ1000万円を3%複利で回せば、約1150万円です。
金利の違いで車1台買えることになります。」


車1台は変わらないけれど複利ならば1%で1051万円。3%で1159万円でしょう?これでは単利です

面白い点としては「資産価値の決まり方」での株価の簡単な計算式

今期の株価=配当/国債利回り

これはかなりザックリとしているが興味深い
理論株価の計算式は決算書の数字から求めるものばかりだけど債券の利回りをここでは用いている
もちろん万能ではないと思う・・・高配当銘柄なら株価が高く内部留保する成長株銘柄だと株価が評価できない

応用としては

(一株当たり当期利益×市場平均配当性向)/国債利回り

更に応用としては

(一株当たり営業利益×税率0.6×市場平均配当性向)/国債利回り

こんな感じでも妥当な株価が出るかも知れません
個別株投資に興味あるひとは一度計算してみて使えそうかどうか教えて欲しいところです
この本では「収益還元価格」または「ファンダメンタルズ価格」と呼ばれます。

基本的には「リスク」と「バブル」についての内容ですが一読の価値は十分にある良書です



メモ書き(ネタばれを含む可能性がありますが過程と興味がある人は一読を強く薦めます)

実質金利が低い理由
  • 資金供給量>需要
    ※資金は余ってくるので実質金利は低くなる
  • 高い貯蓄率
  • 国の金融システムが弱い

バブルを引き起こすのは利子率と成長率の大小関係で説明できる
マクロ経済学の立場からいえば金利が成長率を下回る状態が続くことは重大な意味を持つ
  • 金利が低ければ借金して資産を買い確実に儲ける・・・バブルへ?
  • 要するに「利子率>成長率」が成り立つ経済ではバブルが発生

日本の不動産バブル
  • 土地担保融資は地価を上昇させる副作用を持つ
  • 土地担保融資のおかげで換金性や流動性の低い土地資産が貨幣のような機能を果たした
  • 人々は土地に使用価値だけでなく、銀行信用を引き出す機能をも認めバブルへの道を進んだ

まるで米国は日本の不動産バブルの失敗から学ばずに最近まで家をATMのようにしていた

「おわりに」では外需依存度の高い経済構造に触れ内需型企業へのチャンスを求めている
その中のアイデア「地方経済の集住」は以前に読んだこの国を作り変えよう冨山さんの意見と同じで自分も同意見です

20万人都市だったら成り立たないビジネスでも
50万人都市だったら成り立たついビジネスはいくらでもある

田中角栄の掲げた当時の日本列島改造論から地方都市を集約させる現在の未来像へと変わるのではないのかな?

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